公開されたばかりの映画『ビブリア古書堂の事件手帖』を妻と見てきた。
原作を読んだのは5年半も前なので、正直全く覚えてない。ほぼ未読と言っても過言ではないと思う。(当時は3巻まで出ていて、4巻は次いついつ発売です〜みたいな状況だったかな)
ネタバレ含
もったいないことしたなぁ、と思うのは、夏目漱石の『それから』を読まずにこの映画を見てしまったことかもしれない。
古本が話の根幹となるなら、古典作品をなぞりつつ物語を展開する事になるだろうから、原作との違いがわからない身からすれば、『それから』がどこまで映画にスパイスを与えられたのだろうかという観点から見たかったかな。
太宰治に傾倒したまま抜け出せなくなってしまう人間、というのは文学畑出身の自分の周りには幸か不幸かおらず、自分でも太宰治は『人間失格』しか読んでいないので、うすぼんやりとしたイメージしかないのだが。
映画の登場人物のように、「太宰治は自分の事を書いているような気がする」「太宰治のような文章を書きたい」ということを言わせてしまう太宰治作品の危ない魅力は、少し前で言えば尾崎豊の曲に心酔するようなものだろうか。
太宰も尾崎も最後は若くして死ぬ、という刹那的な最期がわかっているからこそ人は夢中になるのかもしれない。
話を戻すが、他感想サイトにも書いてあったように昇華しこそこねた太宰治フリークと鎌倉をカーチェイスするシーンは見てて何やねん、と思ったし(ロケ地協力してるからだろうなぁと思わせた)
ミステリー作品としては少し物足りなさを感じたので、もっと人情味溢れる話に落ち着かせたほうがよかったんじゃないかな、という感想。
担当:夫