今回のエメラルドは掲載作品(〜の場合)が一切発表されずに発売まで来てしまいました。
誰のお話だったかすらネタバレになってしまうので、前置きはこのへんで。
以下、ネタバレ感想になりますのでご注意を!
今回は『小野寺律の場合 no.30』が掲載されました。
夏の号が『高野政宗の場合』『横澤隆史の場合』の二本立て、春の号は『木佐翔太の場合』だったので一年ぶりですね。
お話の流れ的には、『no.29』後の時間を高野さん視点(高野政宗の場合)と律っちゃん視点(no.30)で追っていくような感じでした。
今回の『no.30』を読む際には、去年の冬の号・夏の号を手元に置いておくとより楽しめるかなと思いました。
少なくとも夏の号は用意すべきです。読み比べましょう。
ということで、本編感想を。
夢のはなし
冒頭、いきなり始まったのでどこか読み飛ばしたのかな?と焦りましたが、律っちゃんの夢でした。
普通、夢オチってちょっと落胆するところがあるかと思うのですが、さすがは春菊先生です。尊さしかない!
さて、ここで夏の号掲載『高野政宗の場合』を思い出していただきたいのですが、ストーリーの序盤、律ちゃんと致しているところの回想シーンがあります。
そこでの高野さんのモノローグに「〇〇〇されながら首筋なめられんのが好きみてーで」とありました。
律っちゃんの夢で、そのとおりのことが行われていましたね。
あの夢は律っちゃんの願望を映し出したものだと思うのですが、現実とは違って積極的だし素直だし、でも負けず嫌いなところはそのままでした。これが、本来の律っちゃんの姿なんですよね。恋に完全に堕ちた後はこんな感じなのかな、とどきどきします。
あと、このシーンで語りたいところがもう一つありまして。
冒頭の高野さんのセリフ「教えた通りにできんの?」と、高野さんに褒められた律っちゃんが「ほっ 本当ですか⁉︎」と嬉しそうに顔をあげるところ。
これ、コミックス12巻に収録されている『no.24』のお風呂場シーンからきている描写だと思ったのですが、どうでしょう。
行為の下手さに申し訳なさげな律っちゃんに対して、「俺で練習すりゃいーじゃん」と言ってのける高野さん。本編では、律っちゃんのかわいさにやられた高野さんが
いつもどおり我慢できなくなっちゃうわけですが、律っちゃん、心の中では練習させてもらって、上手くなりたかったのでは……?
夢という願望のなかでは、高野さんに教わって上達した律っちゃんが、褒められて、求められています。つまり、自分自身の力で高野さんを満たしてあげられているわけです。
律っちゃんの望んでいるのはこういう感じなんだなあと思うと、その真摯な恋心にぐっときます。
尚くんのこと
悪い人じゃないんだけどな、と。
きっと、留学時代に律を救ったことが自信になっていて、それが傲りにつながったのでしょう。
律なら許してくれる。自分なら、もう一度嵯峨先輩のことを諦めさせることができる。そう思っていたから、強硬手段にも出られたのだと思いました。
でも、全力で拒絶された。唇が触れそうになった瞬間、思い切り殴られて。
本意では無い行為に対して、律っちゃんはあれほど嫌がり、抵抗するんだな、というのを見せつけられたシーンです。
本意ではない、というところで、今まで律っちゃんは高野さんに強引に事を進められるたびにイヤイヤ言っていたわけですが、けれど、高野さんに対して尚にしたのと同じだけの抵抗はしていません。(嵯峨先輩にした回し蹴りは相応の攻撃だと思われますが、あれは勘違いの結果なので)
本音のところで、律ちゃんはずっと前から高野さんのことを受け入れていたのではないでしょうか。
高野さんが律っちゃんに初めて強引に迫ったのは、コミックス1巻収録『no.2』の、高野さんの自宅でネームチェックをしたあとのシーンです。
このときは壁ドン→キスの流れですが、唇が触れ合う寸前のコマを見比べてみると、尚くんにキスされそうになったコマと構図がよく似ていることがわかります。人物同士の距離の近さは、ほぼ同じです。
つまり、律っちゃん、その気になれば高野さんのことぶん殴って逃げられたよね?と。
こうして振り返ってみると、やっぱり律っちゃんは高野さんのことが初期のころから好きだったのね、と微笑ましい気持ちになりますね。
最初は尚くんの話だったのに、結局高律の話をしてました。ごめんよ尚くん。
その他、雑多に
高律のマンションの駅のこと。
日吉行きに乗って春日を通り過ぎたということは、水道橋とかそっち方面に向かっていることになるんですよね。三田線なので。
でも飯田橋から水道橋まではJRで行けるし
うーん、謎です。
尚くんを追いかけなかった律っちゃん。
杏ちゃんとのことで高野さんに言われてましたもんね。ちゃんと学習してて偉い!
尚くんのためにも、追いかけないのがベストな選択だったと思います。友達としてい続けるために。