2024年夏アニメ、『俺は全てを【パリイ】する 〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜』の感想です。
原作は未読。
ぶっちゃけた話、異世界ファンタジーもののアニメを最後まで見切ったことがいままで一度もなく、
『パリイ』が初めて完走したアニメかもしれません。
結論からいうと、楽しく最後まで見ることができました。
以下、つらつらっとした感想です。
努力描写について
最新のなろうの流行りがなんなのかとかは全くわからないんですが、純粋に主人公が努力を重ねて一つの技を極めていくというのは
お話に納得感が持てたなと思います。
2024年にもなって、異世界ファンタジー作品にご都合主義だなんだというのはチャンチャラおかしいわけですが、
それでもチートスキルで……といわれるよりも好きですね。
努力描写のあるなしで納得感が変わるというのは他の作品、特に昭和のスポーツ漫画でもそうだと思いますが、
自信としてはあったほうがいいなと感じます。
『巨人の星』でも冬山で合宿したシーンがあって、ゆえに超人的な「大リーグボール」が物語を彩るし、
鉄球を打ち込むことで大リーグボールを打ち取ることに説得力がでてくるわけですから。
ただこれも塩梅が難しくて、特にアニメ見るのにもタイパ重視する時代においては、
「努力描写」がどこまで受けいられれるのか? というのは少し疑問なところでもあります。
(そもそも、努力描写が必要ないからチートスキルがもてはやされているわけでもあり)
それと、「パリイ」が攻撃を跳ね飛ばすというスキルなだけあって、主人公・ノールが不殺なのも見ていて心地よかったです。
死ななくてもいい作品であるならば、別に登場人物が死ぬ必要なんかありませんからね。
印象に残った点
回想シーン
回想に入るタイミングが絶妙だな、というところでしょうか。
回想、といっても「悲しき過去……」みたいなのは魔族の彼だけで、
最終話を除けば回想に入るタイミングの5〜10分前の出来事を描写するぐらいでしょうか。
この少しの回想が観ていて「おっ」と思った描写でして、
1.まず勢いで展開を動かす
2.補足として、回想で補う
という構成、古典的かつ王道な作品の作り方ですが、なんだか逆に珍しさを感じました。
前述のタイパを意識する年代向けの作品ということもあって、勢いさえ面白ければそれでOKってところに、省略可能な回想を入れるのってなかなか勇気がある作品だと思いませんか。
話は脱線しますが、「回想」をどこまで入れるかっていうのは
昨年世間を盛り上げた伝説の大河ドラマ『どうする家康』や『ONEPIECE』で話題になるように
物語に深みを出すためにどこまでやるのが適当なのか?
という議題を意識してしまいます。
はっきりいってしまえば、1クールの異世界ファンタジーアニメに
『ど家』や『ワンピ』ほどの回想を入れられても重しにしかならないというところで、
短距離の回想シーンをちゃんとぶち込める『パリイ』は作品としてしっかりとした骨格がある証拠でしょうか。
主人公の天然さをどこまで受け入れるか問題
最後に語ることか? ともいわれそうですが、
まぁノールって天然も天然ですよね。
「俺、なんかやっちゃいました?」
が古典的作風なのか、まだ表現そのものは現役で生き続けているのかはわかりませんが、
何にせよ、「お約束」を守っている作品です。
(その一方で「メタ発言」をしまくる登場人物がいるのも異世界ファンタジーものの定番でもあるかもしれませんが)
主人公がど天然なのも、ドラゴンを手なづけて一緒に冒険するのも含めて
定番を突き進んだ作品でした。
そういった意味で、見ていて心地よい昨品でたね。
ちゃんと2期に繋がるように未回収エピソードが散りばめられていたので、
せっかく1クール完走しきったアニメです、2期も期待したいところですね。