『仮面ライダーセイバー』、まじで面白くないですよね。
評価としても低いものが目立ちます。
つまんない理由はいくつもあって、概ね「販促スケジュールのキツさが人物を描き切れてないことに繋がっている」「玩具ありきで小説家設定が決まったので膨らませられていない」が大きな理由だとは思うんですが、
それを言ったらおしまいなので、他にもなんか物語として欠落しているところがあるんじゃないかな…とぼんやりと思いながら見ていたのですが、
29話まで見てそれが見つかったのでちょっと書いてみます。
平成ライダーと「居場所」、そして「秘密基地」
と、書いたものの平成ライダー全部見たわけじゃないんですけど、ライダーには「居場所」と「秘密基地」の2つが登場しています。
『W』
居場所:鳴海探偵事務所、秘密基地:フィリップがぶっ倒れるあそこ
『ドライブ』
居場所:特状課、秘密基地:ドライブピット
『ビルド』
居場所:nascita、秘密基地:冷蔵庫の中
『ゼロワン』(令和ライダーだけど)
居場所:社長室、秘密基地:あそこ
こんな感じで、主人公のパーソナリティとライダーのパーソナリティが「居場所」と「秘密基地」という2つの場所によって分かれています。
そして、「居場所」には非ライダーの協力者(主にヒロインやおやっさんポジション)がいて、主人公の人間性を成長せさせる一端を担っています。
(ディケイドとジオウは居場所があって秘密基地がないのは、ライダーであることがレジェンドヒーローの世界に依存するため、あえて作らなかったんだと思う)
「仮面ライダーセイバー」と「居場所」
さて、『セイバー』はどうでしょう。何度か登場している場所をあげてみると
1.「ファンタジック本屋かみやま」
OPで飛羽真が小説書いてるところ
2.「月間グリム編集部」
ヒロインの芽依ちゃんの勤務先
3.「ノーザンベース」「サウザンベース」
ライダーたちがたむろするところ
4.タッセルの部屋
ボンレクチュールと言え
こんな感じかな?
神山 飛羽真には帰る場所がない
『セイバー』にないのは歴代シリーズにあった「居場所」です。
いうまでもなく、「ファンタジック本屋かみやま」は全く機能していません。
ここに変身前のライダーたちは集まりませんし、『セイバー』には1エピソード限りのゲストキャラを出さない作りになっているので、『W』でいうところのまた依頼者が突然ドアを叩く、といった「居場所」から物語展開するシカケになっていないのです。
では、登場人物がどこに集まっているかというと、「秘密基地」の役割をするベースです。
このベースの役割は、本来「ライダー」の居場所であって、飛羽真が戻るべき場所ではないのです。
例えば、28話でなぜ自分が小説化を目指したのか、という飛羽真のパーソナリティの深層に迫る重要な話が明かされますが、彼と仲間たちは、ベースにたむろしながらその話をします。
神山飛羽真に関係する話は、彼の居場所で話されるべきだったのではないでしょうか。
本屋が物語として最初から機能させていないので、もはや重要な話をできる場所でなくなっていると考えられます。
結果、限られた人しか関わらない「秘密基地」が物語の中心になっているので、登場人物が固定されてしまい、自家中毒を引き起こしています。
「居場所」がなく、外の世界との交流がまったくないので、本を体に埋め込んでどうこうするっていうエピソードが芽依ちゃんの上司とか、なんとか君?が出てきてましたが、唐突過ぎて意味不明でしたよね。
更にいうと、ベースにヒロインの芽依ちゃんが出入りしてしまっているのも本屋の存在価値を下げています。
(『W』の所長や、『ビルド』のみーたんたちも秘密基地に出入りしていますが、あくまでも彼女らは「居場所」に所属していることが確立されているので違和感はないかと)
おそらくは『ゼロワン』の唯阿と同じような扱いをしようと思っているのでしょうが、やはりライダーであるか否かで、同じような扱いになりませんでした。
※別に居場所=秘密基地だってぜんぜん構わないんですが、居場所=秘密基地の最たる「スーパー戦隊」との差別化はどうしても図りたかったんでしょう。
結論
結局、神山飛羽真というキャラクターが「居場所」の力を借りられずに宙に浮いてしまったため、倫太郎も含め他のライダーもまたよくわからないままになってしまって、ゆえに各キャラクターに愛着が持てずつまらないという評価になってしまっている、ということでしょう。
余談:セイバーは面白くなるのか?
信じましょう、次の話が面白くなくても、次の次の話から急に面白くなるかもしれないから…!
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