原案:逢縁奇演 先生、作画:クラタヒロヤス 先生、構成:猪原賽 先生
の『カタリカ ―語り禍―』1巻の感想です。
ネット発の都市伝説、きさらぎ駅のことを初めて知ったのはいつだったかな、
05年、06年ぐらいには読んでいたような気がします。
ちょうどそのころ中学生をやっていて、テキストサイトには大分お世話になりました。今流行りのネットde真実もそのころ体験してましたし。
さて、そんな「きさらぎ駅」をメインに都市伝説×ホラーを主題にした本作の感想でございます。
正直な話、描きたいことはわかるけど、構成が(悪い意味で)難しくないか?
というのが読了後の感想です。
『Vガンダム』がスポンサーの意向でいきなり2話から放送させられたので、1話が「…?」となるとの似ている感じします。
"きさらぎ駅"の立ち位置
都市伝説、きさらぎ駅は都市伝説だけあって様々な解釈をされていますよね。映画にもなってますし、国を越えて広がったりしているみたいだし。
ということで、『カタリカ』ではどのような立ち位置、解釈なのかを確認しますと、
まず帯のコピーである、
「"きさらぎ駅"その意思が強ければ必ず目的地にたどり着ける場所」
が、本作の立ち位置になってます。
「あっち」と「こっち」をつなぐ物語上での拠点としての役割ってところでしょうか。
言い換えれば、きさらぎ駅自体が物語の主軸ではないともいえそうです。
物語における都市伝説
ここが『カタリカ』を読むにあたって自分が"難しい”と思ったところなんですが、
少なくとも1巻で描かれる「銀糸女子高立てこもり事件」
には都市伝説が関わってるわけではなくて、
サバイバルホラー要素がメインなんですよね。
都市伝説をベースに話を構成するのか、都市伝説モチーフを物語に登場させるのか……
なんとなく都市伝説っぽい怪物が出てきて登場人物たちを襲ったりするんですけど、主軸とあんまり関係ない。
語り手の存在について
『Vガンダム』みたい、と思った最大の理由がここなんですが、
「語り手」でありこの漫画の主人公である笹塚ささみと、彼女の目的である失踪した幼馴染を探す、というのが物語の中で腰が据わっていないんですよね。
だからなぜ主人公がきさらぎ駅を追い求めていくのかという理由がわかりにくい。
読み切り的な短さで、主人公の役割ときさらぎ駅の立ち位置を説明してから、デカい話に入っていくようにしたほうが読者としてもすんなり読めたのかなと思います。
総論
主人公の動機軸と物語の動き軸がいきなり同時に動き始めているので、
物語が渋滞しているなと感じました。
帯裏の1巻に出てくる登場人物の細かい設定も、ぶっちゃけいらないのでは……
1巻が序章なのは承知の上ではあるんですが、帯にもたすきにもならない感じが、もやもやしちゃいますね。