以前、ほかの異世界ものの感想で、アイテムボックスが出てくるのは面白くない、と言い切りましたが、
この物語ではアイテムボックスが重要な位置を占めるという自分の意見に真っ向からぶつかっていく感じの物語でした。
昔「牧場物語GB3」で、バグ技を使ってトマトを無限増殖させ、売りまくってろくに作物を育てなかったのを思い出しました笑
好き勝手やりまくってウハハハハ!! じゃなくて、おそらく作者も多少なりとも経済の勉強をしていると思うので、物語のシカケはしっかりしています。
異世界小説的なパワープレイがないのは好印象でした。
以下、ネタバレありの感想。
主人公が異世界入りするのも、特に死があるわけでなく、気が付いたら迷い込んでたという感じ。
現世での主人公の社会的ポジションも、トラックにひかれたくなるようなものでも、引きこもりで詰んでるわけでもなく、田舎に拠点を移してスローライフに生きられる属性だったので、入りはすんなり。
異世界で仕入れたものを通販サイト「シャングリ・ラ」で売って、売ったお金でその通販サイトから便利グッズを買い、異世界で転売してお金を増やしていくってのが基本的な物語の仕掛けです。
洗濯バサミなんて簡単そうなものが異世界で売れていくのにも、家内制手工業ではバネを作るのが難しく、生産は不可能、だとか、
異世界のお金が通販サイトに吸われっぱなしなので、いずれ異世界経済が破綻する…ってところに言及があるのも、前述のとおりちゃんと考えられて世界設定を作ってるんだなと好印象です。
商人、街の経済圏から離れたとこにいると思われる貴族の存在や、ライバル商会のことなど、ちゃんと伏線を張ってあって、続きを読もうかなと思わせてくれた作品でした。
あとはアラフォーのオッサンということで、お色気描写に走らないところも好き。
朝チュンがあるぐらいがちょうどいいよね。