オタク夫婦の「○○が好き」

30代オタク夫婦の語り場です。漫画・映画の感想がメイン。特撮と世界一初恋とBANANA FISHもアツい。そんな夫婦です。

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ガノタで特撮ファンの私は『機動戦士ガンダムSEQUEL』をどう読んだらいいのか問題

『ドンブラザーズ』で「やっぱり御大や!」と方々で話題となった、井上敏樹氏が脚本を務める、

『機動戦士ガンダムSEQUEL』は読みましたか?

 

 

あの井上御大とガンダム!? とネットでかなり話題になったので、1巻を買い、2巻を買い、そして12月に3巻を買い…ってところでこのレビューを書くに至ったわけですが、

どうっすかね、この物語とどうやって立ち向かっていけばいいのか測りかねていて…

 

「いまのとこ、面白くないよね?」と思う自分と

「ココで面白くないっていうヤツは”ニワカ”なんだよね…」と逆張りしたい自分が……

 

 

シークエルとガンダムの繋がり

この作品は昨今では珍しい、既存のガンダム作品の物語としての背景を借りない、いわゆる「アナザー作品」です。

と、いいつつも物語の重要なキーワードとして「ニュータイプ」が出てきます。(その背景も基本的には宇宙世紀をイメージしている?)

既存作品でいえば、言葉を借りた『ガンダムX』や、オーストラリア大陸の一部が『1st』と同じように欠けていた『鉄血のオルフェンズ』が近いでしょうか。

 

実際のところ、宇宙世紀の派生作品をというブランドをつけないと、ガンダムの漫画をやり続けるってのは厳しいと思うんですよね。

ガノタなら誰しも脛に傷があると思うのですが、アナザーものに対する「私たち」の目線は常に厳しく、時に腐す言葉を投げかけることも多々ありますし……

 

そんな中、アナザーガンダムをやれるのも、ひとえに「井上敏樹」ブランドなのかもしれません。

 

「シカケ」か「ガンダムである必要なし」か

アマゾンのレビューでも批判的に書かれてますが、

主人公がモビルスーツに乗る描写が1巻にない

1話ではなくて、1巻まるごと。

これをどう捉えるか、それが問題。

 

ガンダムに限らずですが、ロボットアニメならロボットがメインであってその存在が裏付けられる中で、

ガンダムの生みの親である富野由悠季ですら、『Vガンダム』では

「1話から主人公機を出さないなんてとんでもない!」ということでスポンサーとバトルになった結果、当初4話に持ってくるはずだった話を1話に持ってきていて、「今どうしてこんな風になっているかというと…」という手法でそれをクリアしています。

 

pisuke9190.hatenablog.com

 

このタブーをぶち破った『シークエル』の評価も当然「いや、これガンダムでやる必要ないやん」

っていう評価を受けています。

 

ぶっちゃけた話、3巻まで読んでもモビルスーツほとんど出てこないので、

「この話はガンダムでやる必要ない」という批評はごもっともなんですよね。

連載が22年7月に始まって、およそ一年ぐらいガンダムの看板を掲げてガンダム活躍しないわけですから。

 

しかしながら、長いシリーズ作品(しかも、大勢の人が作家として作品に関わっている)の中でも

「あえて」をシカケるのは当然でもあって。

井上敏樹氏の直近の作品での『ドンブラザーズ』も「5人揃ってゴレンジャー」が基本なのにも関わらず、42話あたりまで全員揃って変身しませんでしたが、

でもファンである私たちは全員揃って変身したり、ヒーローをやる上ではお互いの素性が分かってなくてもよかったり、というのはありますし、

『ゴーカイジャー』のジェットマン回でもロボ戦を冒頭の一瞬で終わらせて”ノルマクリア”したりとか。

 

明確に「俺たちはシカケられているんだ!」とわかるとシリーズ作品のファンとしてそのハラハラ感を楽しんだりしちゃいますからねぇ……

『マクロスΔ』でバトロイド体形に変形しなかった理由が終わりになって「作画の関係」って明かされたときはアレでしたけど。

 

 

とはいいつつも『シークエル』に期待してしまうわけ

まぁ結局これなですよね。

今でも根強いファンがいて、20年経って続編が作られる『仮面ライダー555』(私たちは未視聴なんですが)も、大傑作だった『ドンブラザーズ』も、

追えていたからこそその面白さを享受できるわけじゃないですか。

井上御大とガンダムの化学反応は気にならないわけがないんすよねぇ…

その先行投資だと思って、自分は読み続けるつもりです。

 

「特撮ヒーロー」も「ロボット作品」もそうですが、変身後や巨大ロボットの活躍に意識が集中しがちですけど、実際は変身しなくても/搭乗しなくても、人間に面白さがあれば、それは作品として成功するわけです。

 

余談:物語との付き合い方について

私たちだけじゃない話だと思うんですが、作品のファスト消費はどうにかしなければいけないなぁと思っています。

私は文学部出身なので、学生時代もたっぷり離陸距離をつける作品に何度も立ち向かってきたはずなんですが、

そんな自分でもyoutubeやドラマ・アニメを倍速で見たりしちゃいますからね……

「面白い!」って思えるまでの離陸距離に飽きちゃうようになっている自覚はあります。

以前よりも「鑑賞」に当てる絶対的な時間も少なくなっているのは課題でもあるし…