オタク夫婦の「○○が好き」

30代オタク夫婦の語り場です。漫画・映画の感想がメイン。特撮と世界一初恋とBANANA FISHもアツい。そんな夫婦です。

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『王様戦隊キングオージャー』全話観た感想 戦隊シリーズは「大河ドラマ」になれるのか

『キングオージャー』ついに終わってしまいましたね。一年間めちゃくちゃ楽しみにさせてもらった作品でした。

書き残しておきたいことたくさんあるのでかなり長文になってしまいましたが、忘れないうちに感想文を投下しておきたいと思います。

 

 

 

「息もつかせぬ面白さ」を毎週保ったのがすごい

前作、ドンブラザーズも毎週「これ来週はどうなるんだ…?」とこの覗き込んだ穴はどこまで繋がっているか興味津々になる、という感じでしたが、

キングオージャーは、アクション映画のように「次はどんな激しさを見せてくれるんだ?!」という楽しみ方でした。

ドンブラがいったんリセットしたいつものフォーマットを、キングオージャーは同じ手法を使わずにリセットして、よくぞここまで面白く仕上げられたなぁと感嘆するばかりです。

 

2部構成というのも、メリハリでてよかったですね。

開幕キョウリュウジャー10thコラボ回というブーストが決まって、話題をかっさらっていったのも見事、という感じです。

 

順番を入れ替えたら成立しなくなるというスタイルであったり、キャラクター数の厚さというのは、まさにこの作品が「大河ドラマ」と呼ばれるのにふさわしい作品であったと言えるんじゃないでしょうか。

 

 

撮影手法の「バーチャルプロダクション技術」も圧巻であったの一言に尽きます。

あのクオリティをよく毎週世に送り続けてこれた……と頭が下がるばかりです。

個人的にはいわゆる「聖地巡礼」が好きなので実際のロケがなかったのはちょいと残念でしたが、これは作品の評価としては無縁ですね笑

 

キャラ立ちがすごかった

キングオージャーの特殊な点としては、6人が一か所に留まることがなく、6人の王様×6各国の側近たち、というフォーマットの元、キャラの深堀がされたところでしょうか。

カップリング制度とでもいうんでしょうか、皆さんはどうでした?

1人のヒーローとして、縦の深堀は歴代でもかなりうまくいったんじゃないかと思います。

特に強烈に印象に残ったのは、ヤンマくん率いるンコソパですね。

多くの場面で難局を打開する秘策を繰り出してきたンコソパですが、ンコソパの濃さこそ、キングオージャーの原動力であったともいえると思います。

他にも、暗躍して物語を滑りをよくしてきたトウフの兄妹、因縁の存在からしてもはやもう一人の主人公だろ、ともいえるイシャバーナのヒメノ様もよかった。

完全にキャラクターに振り切ったゴッカンのリタモルの存在もそれぞれの国の存在が脂っこくならないようになっていてよかったです。

第一部の敵軍団であるバグナラクの王になったジェラミーの立ち回りも振り返れば追加戦士として王道を行ってましたよね。

敵が味方になるというのは長い戦隊の歴史でもあるようでないような感じですが、ここまでがっつり味方になるのは珍しいことだったのでは。

 

その反面、レッドであるギラだけは、主人公ゆえにキャラクターの掘り下げがいまいちだったかなぁと感じます。

ギラがいたからこそ、ラクレス様の想いがより一段と輝いたので仕方ないのかな、とも思いますけどね。

 

そう、ラクレス様ね。

ラクレス様の人気の出方は、中の人である矢野聖人さんの動きも相まって制作陣の想像を超えたものになったんじゃないでしょうか?

反旗を翻すシーンは激熱以外の言葉では言い表せないぐらい燃えました。あの盛り上がりはやばかった。

強いてケチをつけるのであれば、「シュゴ仮面」はもう少しうまく活かせたと思うんですよね。

それこそ『ガンダム』クワトロ大尉、『ダンバイン』黒騎士の文脈でサブカル界隈に脈々と通じている、仮面をつけることで敗北者をもう一度舞台に立たせる、というシカケが完成したのですからもっと引っ張ってもよかったのではないかと思います。

 

 

 

フリーアドレスな王様戦隊

戦士一人一人の守りたいものはそれぞれが持ち合わせていて、それが最終的に「星」になる、だから協力する、というのは今までの「使命」を帯びた戦隊、とは違うフォーマットだなぁと感じます。

戦うときに集まる、というのは前作『ドンブラ』のツバサがやってのけましたが、それを今回は全員がやってのけたわけですからすごい。

 

しかしながら、『王様戦隊キングオージャー』として、戦士たちの横のつながり、絆はもう少しそれを感じさせるシカケがあってもよかったのではないでしょうか。

例年の作品であればみんなで等しく消化できるはずのボケ回も、物語のフォーマット上なかなかできず、1人ないし2人にフォーカスを充てざるを得なかったというのも、戦隊としての薄さを感じました。

 

キャラクターとしてはイキイキしているけど、チームとしてはいまいちまとまりがないように感じるというこのジレンマだけは地震の中では消化しきれなかった、というのが本音です。

私自身は戦隊は一つ屋根の下で、のフォーマットに慣れていますので、スーパー戦隊の古参ファンの中には同じことを思う人もいるんじゃないかなぁ。

 

『仮面ライダーセイバー』完走時にもブログで記事にしたのですが、

やはりヒーローたちの秘密基地の存在というのはこういうところで重みが出てくるんだなと改めて考えさせられました。

一つ屋根の下、同じ釜の飯を食う というのはやっぱ尊いっすね。

 

pisuke9190.hatenablog.com

 

 

 

 

ネット空間でのムーブメントとキングオージャー

特に、毎回Twitterで盛り上がるのはすごかったですよね。

私も含め、Twitterで盛り上がる視聴者というのは販促番組としては狙ってる世代ではないんでしょうが、ネット流行語の第3位になったというのは紛れもない事実だと思います。

 

site.nicovideo.jp

 

玩具を買わない世代にめちゃくちゃウケるというのは、『ルパパト』のつかさ先輩人気や星雲賞の受賞から始まり、『キラメイ』のヨドンナ様ムーブメントと、もはや無視できないエネルギーになっていると感じます。

今作はロボ戦が前作以上に薄い作りでしたが、

「おもちゃの売り上げ」<「キャラ推し」としてみた場合、実際どんなもんになるんか? という実験の年でもあったのではないかと感じます。(でなければ、LDHからキャストが選ばれるってのもないと思うんですよね)

 

「物が売れなければ商売として成り立たないンだわ!」という焦りをよそにポップアップショップに長蛇の列が出来たりしてるから、「玩具は買わないがグッズは買う」人たちの心を掴んでいるのは間違いなさそうです。

 

シリーズを語る上で記憶されるのは

#キングオージャー最終三話劇場版

でしょう。

異例のプロデューサーレター公開は、東映の中の人たちも良くも悪くも驚いたはず。

 

 

改めてブンブンジャーに期待したいこと

『ドンブラ』、『キングオージャー』と2作連続でハズしてきた戦隊ですが、(特にスポンサーサイドから)色々やりすぎた、なんて声も聞こえてきていそうです。

ニチアサは「大河ドラマ」でいいのか? というのは今作を通じて見えてきた課題の一つなんじゃないかなと思います。

大河ドラマが「大人が観ても面白い」「群像劇」としての比喩であればそのとおりで、

「常に物語が流動的である」という点であれば、まだまだシリーズとして「戦隊シリーズ」のフォーマットとよりマッチすべく、高みを目指してほしいと1ファンとして思います。

 

 

モチーフの車、サポートロボットに秘密基地と本当の王道を選んできたブンブンジャーがどういった動きを見せてくれるのか期待ですね。

前情報を見る限りでは、突拍子もないことはなさそうな感じがしますから、この2年間で開拓した新しいファン層を定着させつつ、メインターゲット層を取り込んでいくのかに期待したいです。

 

pisuke9190.hatenablog.com