オタク夫婦の「○○が好き」

30代オタク夫婦の語り場です。漫画・映画の感想がメイン。特撮と世界一初恋とBANANA FISHもアツい。そんな夫婦です。

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漫画『葬送のフリーレン』1巻感想 "成熟した異世界物"の名作

マンガ大賞の対象を受賞した『葬送のフリーレン』、遅ればせながら1巻を読んでみました。

 

 

amazonリンクにもあるとおり、サンデーに連載中なんですね、この漫画。

1巻読んだ感想としては、マンガ大賞取るにふさわしい異世界漫画だな、(サンデーに連載されるぐらいの力があるな)と。

 

 

 

すげー簡単なあらすじをいうと、

主人公は、魔王を倒した勇者一行の魔法使いポジションであるエルフ族のフリーレン。

エルフなので長生きですから、他のパーティの皆は先に老い、そして先に逝ってしまいます。

フリーレンは再び旅をし、パーティで冒険をしていたあの頃に想いを馳せる…

 

 

「異世界物」と「時間」について

異世界物と「時間」ってすごい相性悪いじゃないですか。

主人公が積み重ねるはずの時間による対価を、積み重ねなしでゲットするのが昨今の異世界物(なろう)の本流であり、主人公はその異世界においては過去を持たない人間ですし、

過去(現実世界)に未練がないから異世界へ転生していく、ので、

異世界物において、時間を主題にした物語は描かれにくいだろうな、なんて思っていました。

 

 

有象無象の異世界物の中に現れた『葬送のフリーレン』

さも当然のように設定として生きていますが、「エルフが長生きだ」ってのは、「異世界物」では共有されているテンプレの1つじゃないですか。

フリーレンは「説明しなくていいだろ、だって異世界物なんだから」っていうのをうまく使って物語に雑味をなくしてますね。

 

「過去」に想いを馳せる物語って、当然メインは回想に至るまでの道ですから、ある程度は暗黙の了解のうちに物語の基盤が読者にも共有されていないといけなくて、まぁまぁ難しいと思うんです。

例えば、「昔の恋人の思い出の地を辿っていくことによって、何かに気づく」という話がいきなり展開される作品があるとすれば、これはいきなりでも私たちの過去の体験と物語を照らし合わせることによって、「ある人」のことがよくわかってなくても、その物語を楽しめます。

 

pisuke9190.hatenablog.com

 

そうでなければ、「こいつの過去は振り返るだけの価値があるんだ」ということを描いてから振り返らなければいけません。

『装甲騎兵ボトムズ』では、主人公キリコの過去は初期では明かされず、3クール目のサンサ編で初めてレッドショルダーだった過去と向き合って苦悩しますが、

もしもサンサ編をいきなりやったら、「なんか苦労してたんだな、この人…顔も怖いし」って距離を取られたまま打ち切りにあっていたでしょう。

 

 

『葬送のフリーレン』はのっけから「過去を振り返るお話ですよ」と宣言し、読者の多くがなんらかの異世界物の作品を楽しむことで得た体験の数々を「疑似過去」として照らし合わせてもらうという技法で「葬送のフリーレン'」を私たちに想像させ、二つの物語を同時進行させることで、ぐいぐい物語に引き込ませてくれます。

 

私が思い浮かべたのは、ドラクエの天空シリーズですね。

かつて「ドラクエ5」をやっていくと「この世界は4の何百年後の世界だったんだ! 勇者は4の駐車の子孫だったんだ!」とわかったことに喜び、そして

「導かれしものたちは世界を倒した後にどうしたんだろうか…?」と気になって色々と考えたことがありました。

 

 

は~なんかやられたよね。よくこんな作品思いついたよなぁ。

創作者の端くれとして、やられたっ!って感じがします笑

週刊誌掲載なので続きをすぐに読めそうで嬉しいです。月刊誌とかだったら生殺しにされてたといっても過言ではありませんよ!!