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フリー乗降制の東急バスに乗ってきた ~フリー乗降制は夢の制度か?~

バスなのに停留場以外でも乗り降りできるフリー乗降制を取り入れている東急バスに乗ってきました。

フリー乗降制 - Wikipedia

 

フリー乗降制って、タクシーとバスのいいとこ取りじゃん! みたいなぼんやりとしたイメージあると思うんですが、

結論から申し上げると都市部において実際に導入するにはかなりハードルが高いだろってところですね。

(山間部や農村部ならいくらでもどうぞ、という感じです。導入するメリットも多くはないでしょうが…)

 

今回きたのは東急バス「市61」及び「市62」系統、東急田園都市線市が尾駅を発着するループ線です。(二つのバス系統の違いは、内回りか外回りかの違い)

東急バス路線図

市が尾駅~泉公園~東市が尾小学校 1.36km (通常)

東市が尾小学校~荏田西四丁目 1.12km (全区間フリー乗降制)

東市が尾小学校~泉公園 0.48km(うち一部がフリー乗降制)

 

路線の約半分ぐらいがフリー乗降制ってところでしょうか。


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東急バスはフリー乗降制を2路線で採用していますが、

ここが一番「あ、フリー乗降制ってどこの街でも導入できるわけじゃないんだな」

と納得ができるところだと思います。

 

写真付きで紹介していきます。

 

 

0.実際にフリーに乗降してみた感想

降りるとき

まず、バスは一般路線バスよりもスピードは遅いです。

最初はかなりドキドキしますが、本当にどこでも止まって降りることができます。

6回ぐらい乗り降りを繰り返しましたが、(ありがとう、乗り放題切符)概ね降車ボタンを押してから5秒後には停車し、降りることができました。

ほかの乗客も上手に自宅前に止めている人も多く、使い慣れてるなぁ、といった感じ。

 

乗るとき

自分なんかは手を挙げて合図してましたが、住民の人はバスを見つめているだけで止めていた人も多かった印象。


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バスもタクシーのごとく、停まってくれます。

 

1.完全に歩車分離できてる

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これは荏田西四丁目バス停の近くなんですが、見てもらうとわかるように歩道の高さを上げ、車道と歩道が完全分離してあります。

歩道が段上げしてあっても、ガードレールがあったとしても歩行者と車の事故が0になることはありませんが、

このぐらいの歩車分離ができていなければフリー乗降制度は安全面で担保できないということの現れではないかと感じます。

導入したい! という市町がたとえあったとしても、歩道がないところは問題外で、歩道を整備できないから代替策として整備してあるグリーンベルト帯が敷いてある生活道路ではフリー乗降制を希望するような資格すらない、と言えると思います。

 

荏田西地区の輔車分離の考えは徹底されていて、地区の中に歩道橋があります。


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「おいおい、ここに歩道橋つけるとか横浜市金持ち過ぎるだろ…」

という位置についています。

https://goo.gl/maps/sRtiy9JeW5ruLZM4A

一般的な認識として「交通量が多い道路において、歩行者が渡れるように・車両が渋滞しないようするために設置する」のが歩道橋だと思うんですが、

おそらく、「歩行者が道路を渡らないようにしたほうが安全だから」というピュアともいえる理由でついています。

(もちろん、学校の近くだからという理由もあるでしょうが、後述するとおりにここの交通量で歩道橋を付けるなら大都市圏の小学校にはすべて歩道橋がついてもいいぐらいです)

 

 

2.完全なる住民のための道路であって、外からの車が流入しない

市61・62系統が走るルートはこの住宅街に住む人たちを拾って駅へ向かう完全なる生活路線です。

荏田西地区を突っ切る形で東西に1本、囲むような形で南北に2本車のための道路が走っているため、この地区を通り抜けたい車は、わざわざ生活路線であるバス路線と同じ道路を走らなくていいわけです。

「バス停でもないのに急にバスが停車しただと?!」みたいなことになりにくいわけです。

2-1.予見される事故のリスク

フリー乗降制を導入したいバスの走る道路が抜け道てきな役割をしていたり、

国道等 - 住宅街 - 鉄道駅 といった道であると、道の役割的に一見さんが通行しやすい道路になると思います。

そうすると、こういうことが考えられます。

「バスが遅い」→「後続車が抜かそうとする」→「横断しようとする歩行者や、対向車との接触の危険性」

「バスが遅い」→「抜かせないのでやきもきする」→「あおり運転や前後でのスピード超過」

「バスが急に止まる」→「衝突する」

「バスが停留所じゃないところに停まっている」→「後続車が抜かそうとする」→「横断しようとする歩行者や、対向車との接触の危険性」

 

自動車運転中にフリー乗降制バスに遭遇した時の緊張感は、路面電車が走る市内を走行するときの緊張感と同じと思ってもらえるとわかりやすいかもしれません。

路面電車は「あ、路面電車だ。気をつけよ」と一目でわかりますが、

「あ、フリー乗降制のバスだ」とは、オタクか街の住人以外はならないので、単純に怖いと思います。

 

3.街がバスと共存してる

これは私の個人的な印象であって、禁止カードかもしれませんが、

さすが田園都市線だけあって、市61・62系統が走る路線は、元々宅地開発とバスの運行計画が同時に行われていた場所であるので、バスの存在を念頭に道路や生活がなりたっているわけです。


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(そしてとうぜんのよう当然のようにスクールゾーンでもある)

 

休日の昼間の数時間だけの滞在ではありますが、自転車の姿もあまりみかけませんでした。自宅から駅まで1km程度であれば、まずは自転車が念頭にくる交通手段でしょう。

自転車を使わずとも駅へのアプローチがスムーズにいく街づくりであるからこそ、フリー乗降制度が成功しているといえるのではないかと感じます。

1.で紹介した歩道橋もそうですが、後付けではない歩行者空間の作り出しと補完する公共交通の組み合わせというのは、なかなか後付けで成功するものではありません。

 

また、バスの本数自体も多いです。

市が尾駅は高速・夜行、降車専用を除いて7のバス乗り場に13のバス系統が就航しています。


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普通電車しか止まらず、乗降人員は一日4万人を切る程度です。(wiki調べ)

同程度の乗降人員の駅で比較すると、

東武スカイツリーライン北越谷駅→4.1万人 バス乗り場:4、系統8

西武線池袋線小手指駅→3.7万人 バス乗り場:2、系統7

西武新宿線上石神井駅→4.1万人 バス乗り場:3、系統9

(ここで調べるのに力尽きた)

 

いかにこの街がバスとうまくやっているかがわかると思います。

 

 

結論

バスの利便性をなんとかしたいなぁ、と思う地域住民や、その声にこたえるべく活躍する地方議会の議員さんにとっては「フリー乗降制度」というのは聞こえがいい制度かもしれませんが、

歩行者がいない、いわゆる田舎と呼ばれる地域でなければ新規導入は難しいでしょう、というのが私の意見です。

 

最も、バスの利便性の向上よりも、2024年問題に伴う運転手不足による既存バス路線維持のほうが重要かつ重大でしょうが…

 

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