オタク夫婦の「○○が好き」

30代オタク夫婦の語り場です。漫画・映画の感想がメイン。特撮と世界一初恋とBANANA FISHもアツい。そんな夫婦です。

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漫画『100万の命の上に俺は立っている』1巻 感想 異色な異世界物


意外な手法で話題になっている20年秋アニメの原作、どんなもんかな~と1巻を読んでみました。

結論からいうと、すんごい面白いと思います、この作品。

 

 

 

 

 

以下ネタバレありの感想

 

 

とりあえず異世界もの、そして「死にゲー」


異世界に飛ばされたらクラスの女子がいて、一緒にRPGの世界で冒険していく話です。
まぁあるあるだと思います。
面白いなーと思ったのは、死にゲーなところです。
主人公たちはパーティのメンバーが生きていれば、時間で復活するというところ。

基本は無双して悦に浸っていくのが「なろう」ものの醍醐味でありますが、(復活するとはいえ)失敗しないと先に進みにくいという設定を入れたの割と冒険したなって感じがします。
ミッションをこなしていくと現実にいったん戻り、そして再度異世界に送られるときにはプレイヤーが一人増えていくっていう仕組みも面白い。
当然話が進むためにはキャラクターを増やしていかなければならないんですが、異世界ものって結構仲間を増やしていくのが難しいと思うんですよね。

(だからこそドラゴンを美少女に変えたりして)
現実世界から移ってくる人が大勢いると主人公の優位性が減っていくわけですから。
その点をうまくこなしているのがすごいと思います。

 

 

 

生が感じられるヒロインたち


性じゃないよ、生だよ。
1巻ではカースト上位の女の子(新堂さん)、クラスの隅で本読んでそうな子(箱崎さん)、そして他校のメガネっ子(時館さん)とテンプレな感じの子が出てきますが、
いきなり異世界飛ばされる彼女たちにもひとりひとり悩んでいることがあるってのが結構面白いです。
例えば、一番最初に異世界に飛ばされてきた新堂さんなんかは、未就学児のときによく面倒を見てくれていた高校生のお姉さんをいじめに起因する自殺でなくしてしまうわけですが、
それに対する新堂さんの親の「ブスだから(いじめられて死んでしまうんだよな)w」という言葉を聞いてしまうという
クッソ重い話があるわけです。

 

カースト上位の女の子がなろうに出てきて「主人公、好き!w」ってなるのに実際理由なんて必要とされないじゃないですか。実は好きだったけど話しかけにくかったとかなんとか言っておけばそれだけで済むわけですから。
あえてもってきた、もってこれたのがすげえ。

 

そして原作者あとがき


このあとがきがまたすごいんですよ。
作品論、「作品の賞味期限」についてを原作者が語っているわけですが、これはアニメしか見てない人もぜひ読んでほしいなと思います。
上で語った「生が感じられるヒロイン」で、なぜ私が「生」を感じることができたのかというのが説明されています。
生が感じられるということはどういうことかというと、現実的であるということなんですが、
現実的であるというのは一体どういうことかというと、私たちの実生活と地続きであるということです。
例えば、時館さんは同級生にスマホで裸を撮られそうになるといういじめ(未遂ですが)を受けていましたが、たぶんこれって20年前は「???」だったでしょうし、20年後は「古い取り上げられ方だな~」と思われることでしょう。


『今日から俺は!』のように一昔前のヤンキーがいじめでズボンを取っていったりすることが「それが行われていることが何を示しているかは知識としてはわかるが、今ならやらないと思う」と思うように
20年後の私たちも「個人電子機器で裸を撮るって古風だなぁ」と思うわけです。

しかし、原作者のいうとおり、平成末期から令和を生きる私たちにとっては、それは身近な問題でもあるわけです。
作者があえて「今」読む読者に刺さることを狙っていく! と言い切った度胸がすげえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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