オタク夫婦の「○○が好き」

30代オタク夫婦の語り場です。漫画・映画の感想がメイン。特撮と世界一初恋とBANANA FISHもアツい。そんな夫婦です。

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『地球防衛企業ダイ・ガード』感想 SFの潮流の中のダイ・ガード

サラリーマンだって平和を守れるんだ! でお馴染みの『ダイ・ガード』

dアニメストアで見ました。

 

今回もこのブログを始めて間もないころに書いた『レイズナー』のときのように、まるっと感想を書いてみようと思います。

 

 

pisuke9190.hatenablog.com

 

 

 

守りたい平和とは・・・『機動警察パトレイバー』

wikipediaの当該記事でも言及されていますが、パトレイバーの影響、「軍人ではない人たちが平和を守る」という点から観るとまた面白い作品だな、と思います。

ロボットがマクロ的な平和(地球)ではなく、街(東京)というミクロな平和な世界を守るというのは、ある意味私たち視聴者にとって身近な内容でもあるといえます。

このあたりは、平成仮面ライダーが2期『W』以降、小さな世界を守っていくようになってきたのと同じ構造です。

ぼやっとした言い方になるかもしれませんが、現実世界を舞台にしたロボットアニメでは、もう「地球を守る」ってのは既にダイ・ガードの時点で流行遅れだったんだろうな~という感じですかね。

(かといって、よりミクロな舞台を守ろうとすると、『revisions』や『輪廻のラグランジェ』みたいにあんまり流行らなくなっちゃうんだよな・・・終点までいくと『ドラえもん』や『仮面ライダーゼロワン』のように「私」と「あなた(ロボット}」になる)

 

また、現代日本を舞台にしたロボットアニメではやっぱり避けられないのが自衛隊。

パトレイバーとダイ・ガードの類似点としては、軍事組織以外の力がある世界での自衛隊の立ち位置にも言及しているところです。(第19話 白の契約他)

パトレイバーでは映画一本作っちゃった「戦えない自衛隊」問題にもちゃんと触れているところはgood。

 

 

 

ダイ・ガードでは、自衛隊の上部組織として物語にがっつり関わってくる安保軍(現実世界でいう国連軍)が登場し、自衛隊と同じ役割をさせています。

結局のところ、自衛隊そのものは怪獣が出てもポンポンと戦車や戦闘ヘリは出せなンだわ、というのをアニメオタクなら分かっているので、「安保軍」だったり、エヴァンゲリオンでいえば「戦略自衛隊」するわけですが。

 

 

他者との対話・・・『劇場版機動戦士ガンダムOO』

ダイ・ガードとガンダムOOは同じ水島精二監督ですが、ここにもつながりがあるなと感じさせられます。

ダイ・ガードにおける敵、ヘテロダインは人類とは全く異なる生物でありながら、地球侵略の明確な意図を持たない生物でもあります。

作中でも、ヘテロダインによって引き起こされるものは、台風や地震と同じ自然災害のようなものと言及されています。

ダイ・ガードでは叶わなかった「完全なる他者との存在に人類はどうすべきか」の答えを水島監督が劇場版ダブルオーで書き切ったのではないでしょうか。

 

 

そして『シン・ゴジラ』

ロボット「ダイ・ガード」が生まれる前に対ヘテロダインの切り札として使われたOE兵器は、使用された地域が汚染されることや、登場人物に広島出身の人がいることなどから、核兵器であることは間違いないですね。

最終話では首都を覆いつくすヘテロダインに対しても、ダイ・ガードでの排除に時間がかかればOE兵器を使って攻撃するしかないという判断が下ります。

 

東京に核兵器といえば、シン・ゴジラに言及せざるを得ないわけですが、

ヘテロダインを(ゴジラを)無力化させるという目標は、裏返すと核兵器を再び使わせないというメッセージの込められている内容でもあるわけです。

何をもって日本人は核兵器にNOを叩きつけられるのか、それがシン・ゴジラでいえば「現場力」なのかもしれませんし、ダイ・ガードでいえば「手の届く平和を守りたいという一人一人の気持ち」といったところでしょうか。

 

そういった点で、「手の届く平和」とはなんなのかをロボットアニメにも関わらず一切ロボ登場させず、日常のみで描き切った23話「守りたいもの、なんですか?」は名作なんですよね…