『Gの遺伝子 少女ファネット』1巻の感想です。
本誌でゴルゴ13は20年以上読んでるのですが、スピンオフ読むのは今回初めて。
スピンオフとはいえ、ゴルゴ13が凄腕スナイパーということ以外何も知らない人でも十分に楽しめます。
本家と違って、少女ファネットの面白さというのは、勧善懲悪ものになってるところでしょうか。
いや、本家自体も基本的に悪いヤツはゴルゴに撃たれて死ぬんですけど、ゴルゴはあくまでも大きい流れの中でめちゃくちゃよく当たる銃弾でしか過ぎないわけです。
「そんな無理難題、ゴルゴにしかできない!」→「やりのけたゴルゴってすごい」
これがゴルゴ13の面白いところなんですが、
「ゴルゴ13の超人的な要素がもっと意思を持っていたら…?」
という、ちょっと考えたことはあるよなというやつ。
ゴルゴであって、ゴルゴでないストーリーってなかなか生み出せないじゃないですか、少なくとも本編では。
ゴルゴ13を完全模倣したアンドロイド兵器が出てきたとしても、しょせんそこに意思ありませんし。
そのかゆいところに手の届く作品がこのファネットです。
ゴルゴ13の「遺伝子的力」が主人公ファネットに超人的な力をもたらすわけなんですが、
巻末のインタビューで故さいとう・たかを先生も言っているように、脚本家さんが生命科学分野で大学院を出られている方ということで、妙に説得力もあります。
己にもたらされた力を、貧しい人や友人のために使うっていうミクロな理由にもかかわらず、
さすがゴルゴシリーズ、ネパールやジョージアまでワールドワイドに登場人物が移動します。
このあたりのギャップも面白いっすね。
ゴルゴ13シリーズらしい、サクッと読めるいい作品だと思います。