5月6日は有給休暇推奨日(半強制)だったので、平日休み&やることない日にお決まりの、岩波ホールで映画を観てきました。
観た映画は『メイド・イン・バングラデシュ』
はい、そのまんまバングラデシュ映画です。(これが人生初めてのバングラデシュ映画)
主人公シムの働く工場は、先進国のファストファッションを作っていて、労働環境は良いとは言えない。そんな中火事が起こり、シムの友人が死んでしまう。
「工場が停まってたんだから残業代はもちろん、先月分の給与も払えるわけねーべよ!w」に怒ったシムは偶然知り合った労働者支援団体の職員ナシマに「組合を作ったらええんやで」とアドバイスを受け…
こんな感じですかね、あらすじは。
映画は実話を元にした映画のようです。詳しくはHP見てください。
確かに10年ぐらい前はmade in Chinaだった服も、ベトナムやカンボジアときて、バングラデシュ製のものをよく切るようになりました。
岩波ホールでやるぐらいですから、この映画も決して爽快感があったり観終わった後にすっきりするタイプのものでは決してありません。
映画が終わって劇場が明るくなり、自分たちを含め観客の姿が見えてくると
「この服もシムたちが必死になって作った服なんだろうか…」と顔も知らぬ彼ら彼女らを文字通り「搾取」してこれを享受している自分らにちょっと嫌気がさします。
劇中でこんなやり取りがあります。
ナシマ「キミら、このTシャツ一日に何着作ってんの?」
シム「1650着ぐらい」
ナシマ「・・・キミらの月収だとこの服、2,3着しか買えんで」
Tシャツですからいいとこ3000円でしょう。それが3着だと9000円。
月収9千円… 日本であれば超短期バイトを1日やれば1.4倍ぐらいは稼げてしまう金額です。
ただ、じゃあ私たちはバングラデシュの人たちに対して何ができるだろうか、と考えたときに正直に言うと思いつかないんすよね。
ファストファッションを利用しないことがそれに繋がるのか? 究極的にはそうかもしれませんけど、ムーブメントとして起こらない限りはなかなか実を結ばない努力なのかなと考えてしまいます。
シムが労働組合を作っていく中で、夫(しばらくは無職)の無理解だったり、当然会社側からの妨害工作も入ってくるわけですが、
印象的だった出来事があって、映画が終わった後、エレベーターを待っていたんですけど、一緒に映画を観ていたおばあちゃんが
「私も昔労働組合に入ってたんだけど、あの子(シム)と同じように色々妨害されたわよ~ 特に≪手当だすから、しばらく休んでもいいぞ≫って台詞、あれとまんまおんなじことを言われたわ。どこの国も同じね・・・」
私「ひええ・・・・」
岩波ホールは上映する映画の雑誌や新聞での批評記事を壁に貼っているんですが、今回見つけて意外だったのが、某女性雑誌の映画紹介コーナーが掲示されてました。
そのコラムの中では「旧習や宗教のしがらみに立ち向かい…」と書いてあって
「????」となりました。
いやいや、旧習は多分「男は外、女は家」を無職夫のくせに言ってきてるってのがそこに当てはまるんでしょうけど、宗教がマイナスに働いている描写なんてどこにもなかったぞ…と。
それと、労働組合を立ち上げるのにあたって、バングラデシュでは国の許可が必要っぽく、主人公が足しげく認可をもらいに通っては
「まだ!w」
「上司が今見てる!w」
と追い返されたり、意思決定者も当然無能で全然主人公の味方になってくれないんですが、コラムでも
「労働者を守る立場のお役人が守れないなんて!」と怒ってました。
いや、それはそうかもしれないけど…
この映画を観てそこ思いついちゃうか~ と感心しました。
うまく紹介しないと大スポンサーでもあるファストファッションから変に目を付けられちゃっても嫌ですからね。
ならこんな映画をわざわざ取り上げるなよ、とも思ったりしますが。