今年37本目の映画です。
角川シネマコレクションに入ったので、なんか見ないと思ったいないよな~ と思って探していたところ、なんとなく面白そうだと思って視聴。
「なんとなく面白そう」で観れるんだからサブスクって偉大ですね。
前に見た『メイン・テーマ』が伝説級の面白さだったので、角川映画…大丈夫かと心配にもなっていたのですが、面白い映画でした。
やっぱりボーイ・ミーツ・ガールものは最高。
ヒロインのミーヨこと、原田貴和子もかわいい。原田知世のお姉さんだって知らないで観てました。言われれば似てるな~ みたいな。
簡単なあらすじを含むネタバレありの感想です。
90分の短い映画だし、面白いのでぜひ見てほしい。
モノクロの夢を見る主人公
冒頭で竹内力演ずる主人公コオが「俺はモノクロの夢しか見ないんじゃ」というところから始まるこの映画。
ちょいちょい絵がモノクロになったり、フルカラーになったりします。
文芸的な作品であることは間違いないんですが、どの場面がモノクロでこういう意味があって・・・と観るにはちょっと時間足りなかったっす。ごめん。
でも、印象的なシーンはモノクロであることが多いので、たぶんそういうことだと思う。
「私」の想像する80年代
主題になっているバイクなんですけど、私の中では80年代アイテムなんですよね。
その大半は尾崎豊の歌のイメージにひっぱられているかもしれませんが。
音大生のたまり場として出てくるバー「みちくさ」も70年代なら政治的な匂いがもっとするでしょうし、元カノの兄貴(三浦友和)との決闘のシーンなんかは90年代ならシラけてるでしょう、そういうことから。
コオもすんげーかっこいいんですけど、このキザっぽさ許されるのってやっぱり80年代だけだと思うんですよね。
(このあたりはなんか『機動警察パトレイバー』1stEDの「ミッドナイトブルー」ぽさもある。)
劇中歌「サンシャイン・ガール」
劇中では冬美の作詞にコオが遊びで作曲した(さすが音大生や)歌ということになっているサンシャイン・ガール。失恋の歌。
冬美がガチのマジでコオにフラれた場面と、ミーヨが東京に出てきて、コオと友人の小川と3人でみちくさを訪ねて、専属歌手になった冬美の歌を一回、飛び入りで歌い始めるミーヨ と3回歌われるんですが、同じ曲でもアレンジが違います。
バラード(本来の曲調)・・・フラれた直後の冬美、飛び入りのミーヨ
アップテンポ・・・専属歌手になった冬美
サビの歌詞がこの映画を物語っていて、
私(冬美)のものにならないあなた(コオ)だったりとか、あなた(コオ)のものになれない私(ミーヨ)とか・・・
この物語の結末を暗示させています。 きっつ~。
ちなみに、アップテンポ版の曲調が『超時空要塞マクロス』のリン・ミンメイが歌ってそうな曲調っぽい。
ラストをどう評価するか
wikipediaにも書いてあるぐらいなんでもはや有名だと思うんですけど、「ひと夏の思い出」的な映画には似つかわしくないバッドエンドなんですよね。
ちゃんとストーリー上でフラグがいくつも立ってるんで予測できないわけじゃないんですけど、バッドエンドは悲しかったなぁ。
冒頭の「夢はいつもモノクロだ」ということにこだわって観ると、
ツーリングしている カラー
途中の分岐を分かれて進み、合流地点で待ち合わせということにする モノクロ
先の休憩所で女の子のバイク乗りが事故で即死したという話を聞く モノクロ
事故に巻き込まれているミーヨ カラー
コオが慌てて外に出るも、遅れてごめーん、ミーヨはちゃんとついてました モノクロ
草原でバイクと2人で写真を撮る カラー
終わり
モノクロが夢であるならば、ミーヨは死んでないとも言えるんですが、
事故に巻き込まれているミーヨはカラーなので、これは現実であるとも言えます。
「あぁ、こうであればよかったのにな」という理想(=夢)がモノクロで映し出されたと捉えると合点がいくかな・・・
でもそうするとラストシーンの写真撮影がカラーなのはなぜ?
これは私なりの結論ですが、
ミーヨは死んだかもしれないし、死んでないかもしれない。
いい話だったから、どっちのエンドを取るかは観客にゆだねられた ということでどうでしょうか。