「富野由悠季の世界」、観に行けなくて涙を流していたんですけど、まさかの新潟で復活と聞いて「これは観に行くしかない! その前にイデオンを観切るしかない!」と思って、わざわざバンダイチャンネルまで会員登録して観ました。
全滅エンド、黒富野なんて言われるだけあって高カロリーならぬ超カロリーだった今作品ですが、非常に面白かったです。
ちなみに、私が見たことある富野作品は『1st』~『F91』、『ダンバイン』、『リーンの翼』
まずは感想
1話、Aパートで主人公コスモの両親が爆散。このあっけなさに「これが黒富野なのかよ!」と心の中で叫びました。富野作品の主人公たちと、その親との確執はわりかし有名ですが、それでもこのあっけなさはすごかった。
『イデオン』の話の流れは前半は割と王道な感じで、「星に隠れる」→「バックフランを倒す」→「別の星を目指す」というやつですが、もっと漂流する星々そのものに特性があってもよかったんじゃないか(38話で出てきたような星、クソデカ食虫植物が出てきて、それを利用しながら戦うみたいな)
と思う反面、あんまりやりすぎても『銀河鉄道999』味がでちゃうからあえて避けていたのではないでしょうか。丁度放送時期も被ってるし。
イデオンリアタイ世代じゃないと、イデオンのイメージって『第三次α』だと思うんですよね。
だからイデオンが身をかがめるようにミサイルを放つシーンが初めて出てきたときは「うお! スパロボのやつだ!」とワクワクしたり。
コスモの恋の相手、キッチ・キッチンがやはり登場してすぐに死んでしまって退場してしまったのももったいなかった。
ここがアムロ・レイとユウキ・コスモの違いかなと思っていて、キッチ・キッチンが長生きしていれば、コスモも戦士としてだけではない人間的な成長もあったのではないかと。
まぁ、『1st』のマチルダさんもミハルも印象的な割には結構早く退場しちゃうからそんなものかな。
作品として面白くなってくるのは、地球圏に到達し、いったん逃避行が終わる2クール末からでした。
「イデオンガン」「イデオンソード」が2話連続で出てきてその強大な力を示して登場人物も、視聴者である私たちもびっくりしちゃうんですが、この2クール終了と同時にイデオンの必殺技が登場するってのが激熱なんですよね。
それまで散々「イデってなんなんだ?」「イデ?」とひっぱるだけひっぱり、我々を飢餓状態にさせておいてイデオンの必殺技を通して
「イデ」が人知を超越した力だということを暴力的に魅せつけるそのすごさたるや。
ソロシップの科学者でもあるシェリルさんが少しずつ融和的になってきて、ギジェとの関りを通して人間らしさを出せてきて、よかったねシェリルさん!と思っていたらまさかの廃人エンドはかなり悲しかった。
せめてギジェはシェリルさんが看取る中で逝くぐらい優しさをイデはもってもよかったのではないか。
パイパー・ルウがイデ発動のトリガーになっているのではないか? からのベスとカララの子どもが物語のラストを握るシームレスな動きはすんごいよかった。
ルウはイデオンに乗り込まされたりしてかわいそうだったけど笑
ラストについて
ここまで来るとカララが無事だっただけでもハッピーエンドだったのでは。
イデオン・その他メカについて
イデオンのおもちゃ売れなかっただろうなぁという第一印象。
イデオンのCメカ、(イデオ・ノヴァだっけ?)なんかトレーラーがびゅーんと飛んでてなんかこう…しっくりこないんだよなぁ。
戦隊シリーズの合体メカで、ブルーやグリーン、ブラックあたりが操縦する五体の合体ロボで変形後胴体になるから他のメカと比べるとずんぐりしているやつがあんまりかっこよくないのとおんなじか。
そりゃぁ、どっちのメカもコンバトラーVから来てるんだから似るのは当たり前といっちゃ当たり前なんだけど。
バック・フラン軍の重機動メカはジオン軍のMSに比べたらかっこいいなと思うことは一度もなかった笑
後半に出てきたツインビーみたいな敵の機動兵器も「ザ・やられメカ」という印象しかない。
だからといって、伝説の巨人と並べる大きさの人型ロボット出すのもちょっと違う感じしただろうし、うーん。
敵メカについては、メカもさることながらネームド悪役の名前を覚えないままアニメ終わってしまったというのもある。みんな同じ宇宙服だったし。
でも、各ロボの戦い方はわりと面白かったかな。ワイヤーで縛って電撃はもちろんのこと、双子のパイロットの同時攻撃やデカい電子レンジや冷凍ビームでパイロットだけ死なせたろ!戦法とか。
イデオンが分離して窮地を脱出するのも古くは『ゲッターロボ』から続く合体ロボとしての王道だから見ていて気持ちがよかった。
イデオンの両腕と頭だけビューンと飛んで重機動メカ殴ったりするのも画面的に面白い笑
音楽について
イデオンの音楽を担当してるのがすぎやまこういちということで、「あ、これはちょっと陰のある事情のあるお城で流れる音楽だ!」とか「戦闘BGMだ!」みたいな、ドラクエファンからするとなんだか懐かしくなる曲が…
『コスモスに君と』の編曲が流れると絶対に誰か死んじゃうシステム、あれは毎回ドキドキした。
すげえ惜しいのは、ED曲が話の終わりで流れて、そのままEDに行けばこれ神回だろ…ってのがあったけど結局なかったところ。
特に、31話「故郷は燃えて」。ベスの両親が肩を落とし、息子の写真を破りながら歩いていく背中にソロシップに乗ったベスが「さよなら」というシーン(実際にさよならは聞こえないんだけど)
ここもそのまま特殊EDに突っ込めば絶対よかったのになぁと。
当時はそういうフォーマットなかったからしゃーないと言われればしゃーないか。
総評:オタクなら見ろ
39話長かったんですけど、見て損はなかった。とても面白い作品だったと思います。
『機動戦士ガンダム』でニュータイプになれば人は通じ合えるんだ、という希望を見せた後に
今作、ベスとカララ、シェリルとギジェと通して人と人が愛し合うことの可能性を見せてくれた…
という感じでいいっすかね?
でも『伝説巨神イデオン』の総評は劇場版観ないと語れないな。
後はなんだ、個人的には『イデオン』のアンサーソングは『劇場版OO』だと思います。