オタク夫婦の「○○が好き」

30代オタク夫婦の語り場です。漫画・映画の感想がメイン。特撮と世界一初恋と刀剣乱舞もアツい。そんな夫婦です。

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映画『室井慎次 敗れざる者/室井慎次 生き続ける者』感想

『踊る大捜査線』シリーズの最新作、

『室井慎次 敗れざる者』『室井慎次 生き続ける者』を観てきました。

『生き続ける者』については、先行上映です。

(先行上映するってすごいよね。よっぽどファンがつめかけたってことなんでしょうね)

 

妻が『踊る大捜査線』シリーズのことを結構好きな一方、私は映画公開に合わせてTVで過去作の映画を放送したのを初めて観ました、というレベル。

 

『敗れざる者』を観た時点では『2』までしか観てなかったですし、

『生き続ける者』を観てから『FINAL』を観たぐらいの周回遅れです。

なんならテレビドラマ版も知りません笑

 

そんな私でも、この前後編の映画については十分楽しめました。

さすがに『踊る…』の作品は全くわかりません、の人が観るにはおすすめしませんが、

「青島/織田裕二と、室井さん/柳葉敏郎が交わした約束も大組織の前には叶わなかったので隠遁しました」

ぐらいの前知識さえあれば、いけるかと思います。

 

9日(土曜日)の朝には女性自身が『生き続ける者』のラストシーンのネタバレを早速出してたので、

「マイナビ×劇場版仮面ライダー事件を忘れちゃったのかな」って感じですけど、

まぁいいのか。

getnews.jp

 

ということで、物語の核心に触れる内容が含まれる作品になりますので、

これから観る方はブラウザバックお願いいたします。

 

 

 

室井さんの孤高な生き方について

『FINAL』のラストシーンで叶えようとした警察機構の改革を叶えられなかった、

ということで秋田にて隠遁生活を犯罪被害者遺児や虐待の被害にあった子どもたちと過ごす室井さん。

田舎での人間関係のギクシャクから始まり、事件の渦に少しずつ飲み込まれてくわけですが……。

私は劇場版での室井さんしかしらないので、どのぐらい室井さんの私生活が明かされているのかはわからないですけど、

あの室井さんが田舎暮らしするならこんな感じになるだろうなぁ、

という生活スタイルですね。

 

観ていて気持ちがいいのは、子どもたちが室井さんの背中を見て成長していくところでしょうか。

『踊る…』が旧来の刑事ドラマの枠を超えて人気になったのは、等身大のキャラクターたちが視聴者と共に成長していくから、じゃないかなと思うんですよね。

(映画だけ観た私の感想にすぎませんが)

 

私たちは成長した瞬間に他者からの「褒め」という形で自己評価を高めていけるわけですが、

年を重ねるとそういう機会も(成長するという点でも、褒められるという点でも)取れなくなっていると

たとえそれが創作のなかであっても、他人が成長している姿を確認できる

というのは気持ちがいいものあります。

「若い子がご飯をたくさん食べるのを見ると気持ちがよい」的な。

 

室井さんの家に住む子どもたちもみんなが難儀な過去を持つなかで、

物語のラストシーンまでちゃんと成長していく姿を私たちに見せてくれたのは嬉しかったですね。

どんな過去があっても「認める・信じて任せる」やり方で子どもたちと絆を深めていくのは、まさに青島をはじめとする現場の人たちを動かす手法と同じやり方でしょう。

 

子どもたちそれぞれに言いたいことがあって、列挙していくと、

タカ(演:齋藤潤)は思いを寄せる女の子に思いっきりフラれててかわいそうでしたね。

いわゆるBSSなんですけど、

それにしたって同級生の女、あんなにタカのこと好きですアピールして

フるとき容赦ねえな……って思いました。

仮に恋がうまくいかないことが決まっていたとしても、こんなに急に同級生心変わりしちゃう?! ってビビりました。

雪だるまのシーンとかはなんだったんだよ……と。

さすがにここは描写不足ではなかったかと思います。

タカがフラれることは物語として定まっていたと思うんですよね。

それまで母の死という問題に悩まされ続けていた彼にとって、自分の問題として最初に立ちふさがる壁として、フラれるはマストだったと思います。

もう少しタカと同級生女とのすれ違い描写を細かく入れてあげてほしかったですね。

 

虐待・ネグレクトで保護されたリクが出所してきた父親に引き取られる場面は

見ていて胸が痛かったですね

現実でいえば、何かしらの罪で捕まった父親はネグレクト・虐待の余罪もあって

罪が重くなっているでしょうから、いくら刑期を終えてきたからとはいっても

子どもに再び会うことは無理でしょう。

「無能な児童相談所」問題は創作においてわりと頻繁に見かけますが、(『竜とそばかすの姫」とか)

現実はそんなことないよ、というのは声を大にして言いたいですね。

(この、「無能な児童相談所」問題について、管轄官庁はもっと情報発信していくべきだと個人的には思います。こういった創作の持つ影響力は高く、無視できない存在だと思います。)

特撮オタクとしては、児相の職員がニンニンジャーの八雲だということに全然気づきませんでした。ノットイーズィーだろこれ。

 

 

日向真奈美の娘である、杏ちゃんの怖さもまた、今作品の見どころであったと思います。

「あの子が来てからへんなことばっかりやね」

と言わせるキャラクターって絶対に難しいと思うんですが、その後の雪解けまで描き切ったのはすごい。

日向真奈美が獄中からもなお、世間へ影響力を発信し続けているというのも、今までなら創作の範疇だと思えていたのですが、

実際に「いただき女子りりちゃん」なんかが獄中からもいまだに情報を発信し続けている様子をみると

創作に現実が追いついてきたんだな、と末恐ろしく思います。

 

猟銃を室井さんに撃たせてもらうシーンの

「人を守るために使おうとすれば怖くないんだ」(意訳)

という台詞がかっこよかったですね。

ここで立つフラグが回収されるんだろうな、と思ったら本当に回収されるのは鮮やかでよかったです。(まさに、「チェーホフの銃」)

 

 

室井さんが子どもたちを引き取って生活しているのは、

「青島との約束を叶えられなかったから、その贖罪として」

というのが理由、と本人も説明しているんですが、

こんな本格的に隠遁生活をするほどなんだろうか? と思ってしまいます。

この辺りはシリーズを全部おいきれていないにわかファンの私だからこその感想なのか、意外とみんなそう思っているのか

「踊る」ファンにぜひ伺いたいところです。コメントお待ちしております。笑

 

ラストシーンについて(閲覧注意)

はい、青島が出てくるシーン。

劇場の歓声がやばかったですね。劇場で見る良さってこれだよな、これ。

としみじみと感じました。(当然だけど、青島も老けたよね)

前述のとおり、9日の時点ではネットニュースに上がっていましたけど、メディアとしてはネタバレが早すぎるんじゃないの?

と疑問に思います。PVが稼げればいいのか? そこに作品への経緯はないのかしら、と。

 

 

まとめ;踊るよ、輝き続けて

私自身はフジテレビ文化圏に属していなくて、フジテレビ全盛期はトリビアの泉ぐらいしか見たことがなかったんですが、

『踊る大捜査線』というこんな面白い作品を作れていたんだなぁ、フジテレビって、としみじみとしちゃいました。

今回の作品を起点として、再び踊る大捜査線シリーズが動き始めてくれるのであれば、後の後から参加することになった私のような人間にも

嬉しいことこの上ないかと思います。