オタク夫婦の「○○が好き」

30代オタク夫婦の語り場です。漫画・映画の感想がメイン。特撮と世界一初恋とBANANA FISHもアツい。そんな夫婦です。

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『世界一初恋 小野寺律の場合』(1)再読した感想 14巻に備えて

初版発行が2008年7月なので、刊行十周年目になります。

14巻の書影も発表されたタイミングで、改めて読み返してみました。

コミックス未収録の最新話数まで読んだ上での感想になりますので、1巻以外のネタバレも含まれます。ご承知おきください。

 

 

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舞い散る花びら

冒頭、嵯峨先輩への想いが舞い散る花びらとして描かれています。この時点で何の花びらなのか言及されていませんが、アニメ第1話の同シーンで桜の花びらとして描かれているので、コミックス版も桜と判断して良いと思われます。

ちなみに、アニメでは学校に植わっている桜が花びらを散らすカットがありましたので、4月初旬として描かれているようです。(律っちゃんの制服が高校の詰襟だったので、高校進学後で確定かと)

1巻で桜の花びらが描かれるのは、冒頭の告白シーンと、『no.1』の過去回想、描き下ろしの『小野寺律の場合 no.2.5』くらいになります。

現在(小野寺25歳)のシーンでは一切描かれていませんでした。

やっぱり嵯峨先輩への想い=恋心が花びらとして描かれていると考えるのが自然な気がします。

1巻の時点では、まだ高野さんに恋をしているわけではないので(落ちかけというか、また好きになりそうな段階といったところ)、過去のシーンでしか桜の花びらを見かけないのでしょう。


【最新話まで読んだ上での辛い妄想】

13巻の描き下ろし『高野政宗の場合 no.1.5』に出てきた桜の花言葉【私を忘れないで】。

1巻の律っちゃんからすると、桜の花びらが舞い散っていたシーンはどれも忘れたはずの過去になります。

花びらが【私を忘れないで】を意味するのであれば、15歳の律っちゃん(嵯峨先輩にフラれる前の織田律。ただただ先輩のことが好きだった)が25歳の律っちゃん(「恋愛とかよくわかんない」と言ってしまうほど恋愛に苦手意識を持ってしまった)に対して送ったメッセージのようにも受け取れます。

『高野政宗の場合 no.1.5』の、織田律のことを早く忘れられたらいいのに、と思いながら桜の木を眺める嵯峨先輩。

『小野寺律の場合 no.25』の、桜の咲き誇るイギリスの学校で、嵯峨先輩を忘れようともがく律っちゃん。

若かった彼らはお互いにお互いのことを忘れようとするのです。

実際、律っちゃんは無理やり忘れてしまいましたが、結局完全に記憶を消し去ることはできなくて、はっと思い出したり夢に出てきたりと、少しづつ思い出しています。

【私を忘れないで】というメッセージが、記憶を心の何処かに留めておいてくれたのかもしれません。

以上、妄想でした

 


【お仕事マンガ】としての読み応え

文芸出身の律っちゃんが、丸川書店に転職したら畑違いの少女漫画編集部に配属されてしまった、というのが1巻のストーリー。

新人編集の律っちゃんの視点で、少女漫画編集のイロハを一緒に学ぶことができます。文芸と比較して語られることもあるので、文芸の仕事の流れなんかも合わせて知ることができます。

【周期】の説明とかすごくわかりやすいですよね。ここで理解しておくと、本編を読み進めるにあたっても「いまエメ編はこの時期なのね」とわかるようになります。

あと、作家との打ち合わせとか原稿の回収以外の編集者の仕事が描かれていて、思っていた以上に「こんなことまで?」ってお仕事をされてることを知りました。部数の決定会議とか、【編集のお仕事】を紹介する本とか番組なんかではあまり取り上げられませんよね。

「編集者が青ざめるほどちょこっとリアルな」というキャッチコピーどおり、結構リアルに描かれているようです。

 

 

1巻を読み返すのは久しぶりだったので、冬の号まで踏まえてみるとちょっと新鮮な感じがありました。

やっぱり何度読んでも面白いですね。

高野さんと律っちゃんの関係性とか、まだこんな感じだったな、なんて懐かしくもあり。

逆に、冬の号を読むとよくぞここまで!と思えます。

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次は2巻も読みたいところ。

 

 

世界一初恋 ~小野寺律の場合~ (あすかコミックスCL-DX)

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