今年8作目の映画です。
前回の『あの頃、君を追いかけた』と同じく友人たちの勧めで見てみました。
『あの頃~』に続けて、高校生が主人公の映画です。
そして、心がヤング(意味深)の映画と言えると思います。
てなわけで、感想いってみよー
以下本編の内容に関係する内容なので、未視聴の方はおさきにどうぞ。
「モテたい」はあらゆる高校生の原動力だということ
私もかつて高校生だったころに、やはりモテたいので音楽やろうとしてました。
ハーモニカとアコギだったけど。
アコギは弦の張替えに失敗して、3日で辞めたし、ハーモニカは演奏しながらできないということに買った後に気づいて、二週間ぐらいで辞めました。
楽器に対する情熱(モテたい)が面倒さに勝てなかった悲しい高校生でした。
主人公はヤサグレ系ヒロインに一目ぼれして、
お近づきになりたいがために「俺さぁ…バンドやんだけど、MV出ない?」という文句でナンパし、ヒロインと仲良くなっていきます。
モテたい一心で仲間を集め、最初は楽器も全然できなかったのにいつの間にか弾けるようになって… とめきめきと成長していく主人公。
その熱にヒロインも少しずつ主人公のことを認知していく・・・ってな序盤の流れ
歌がうまいとか下手とかは関係なくて(主人公のお兄さんはデモテープ聴いた後に部屋の換気をしてテープ破壊されてたけど)、結局は若さからくるやる気が人を輝かせるのだという感じっすかね~
お兄さんの存在
経済的理由で不良高校に転向させられてしまった主人公も不況の被害者なんですが、
大学を中退した(あるいは中退してしまった)お兄さんもまた、被害者でもあります。
もちろん「まっとうな」お姉さんとの比較も注目すべきところ。
お兄さんの存在を肯定的に描くことで、この物語の根本のテーマである「夢を持つこと」の正当性が保証されています。
お兄さん、たぶん働いてないし、イリーガルなアレを使ってるっぽかったですけど、
劇中では自分自身を腐すこともなければ、誰かから非難されるシーンもなかったですよね。
一方で主人公の両親をはじめ大人はすべてクソがつく人物で、不倫、DV、アル中な親が揃っていて、教師は教師で無関心だったり、意味のない校則で縛り上げたりと完膚なきまでにクソです。
大人であるが、若者でもあるお兄さんという光がいいですね。
また、お兄さんの存在って要所要所で転換ポイントになってて、主人公の活躍をロック応援してくれるのはもちろんなんですけど、
「お前が妬ましい!」って吐露するのも、そして最後に主人公とヒロインがロンドンへ旅立つ見送りをしてくれるのもいい役回りだなと。
好転しないであろう世の中の状況を肌で感じつつ、夢を持てた弟が羨ましくも応援したい、
そんな気持ちが諦観の中から垣間見えるところに漢を感じますね。
ラストシーン
ロンドンへ向かって、祖父の残した小舟でロンドンへと旅立っていく主人公とヒロイン。
アイリッシュ海、くっそ荒れてるんですよ。煽られて小舟水被りまくりだし。
漕ぎだしたとて、それが順風満帆では決してない、ということを暗示させる嵐です。
とはいえ、決して二人が間違っているというわけではありません。
大型船にぶつかりそうになる場面も、中盤のシーンで語られる
「みんなあの大きな船に乗ってロンドンへ渡っていくんだよな~」の台詞の回収、
つまり方向は間違ってはいない。
加えて、一瞬しか映らないのですが、進むはるか先の空は曇ってはない。
てな感じで「若者に幸あれ」なエンドで終わっています。
その他雑感
私はイギリスの曲と言えば「ダニーボーイ」で始まり、「ビートルズ」を経由したのちに「video kills the radio star」で終わってるので、劇中歌が9割わかりませんでした(ダメ)